第二種電気工事士の技能(実技)試験で扱うケーブルの多くはVVFケーブルです。VVFケーブルは、ケーブルストリッパーを使うことで簡単に被覆を剥くことができます。EM-EEFケーブルもVVFケーブル用のストリッパーを使えます。
技能(実技)試験の悩みのタネがVVRケーブルです。VVRケーブルは、電工ナイフで被覆を剥くのが基本ですが、ケーブルストリッパーと違い電工ナイフの扱いはそれなりに技術が必要です。
VVRケーブルの剥き方は、動画などで見ることができますが、やり方が微妙に違ったり裏技的なものも紹介されていたりするので実際に5種類の方法を試して比較してみました!
VVRケーブルの剥き方
ネットの記事や動画を探すと、主に下記5種類の方法がありました。
- 電工ナイフを下から当て、ケーブルを回す方法
- 電工ナイフを上から当て、ケーブルを回す方法
- 電工ナイフを上から当て、上半分切り込みを入れてからケーブルを裏向きにし、残り半分の切り込みを入れる方法
- VVFケーブルストリッパーを使う方法
- 中身を押し出す方法
それぞれ実際にやってみて比較します!
準備
電工ナイフを使う1~3の方法は、初心者は手を切ってしまう不安があると思います。試験中に血だらけになると試験中止させられるとの噂もあり、ネットでは絆創膏を持っておくとよいとか書いてあるサイトもありました。私も一発退場は不安だったので、薄い切創手袋を持っていきました。結局VVRケーブルの問題には当たらず使わなかったのですが、安心のため切創手袋を用意しておくことをお勧めします。
被覆を剥く際に中身が飛び出してこないように、反対側を曲げておくこともおすすめです。
1. 電工ナイフを下から当て、ケーブルを回す方法
初心者のバイブル的存在、 電工試験の虎_ホーザンの動画 で紹介されている方法です。
刃が上にくるよう電工ナイフを持ってVVRケーブルを電工ナイフの上に乗せます。上から右手親指でVVRケーブルを下の刃に押し付けるようにしながら左手をひねりVVRケーブルを回転させます。ちなみに回転方向は動画と同じ矢印の向きでやってみました。
なかなかきれいに一周できました!親指でケーブルを押さえながら回転させるため、力が入りやすく切れ目も深いです。
それほど力を入れたつもりはなかったですが、中の介在物まで切ってしまいました。IV線の被覆にも少し傷が入っていまいました。
もう一回やってみたところ、最初と最後が少しズレてしまいました。まあでも、刃を固定し、ケーブルも親指で常に押さえているのでそれほどおおきくはズレないので練習すれば成功率は上がるでしょう。
深く切り込みやすいので、力加減がポイントだと感じました。
2. 電工ナイフを上から当て、ケーブルを回す方法
adwindenko2さんの動画 で紹介されている方法です。
これは刃を上にしてケーブルに押し当てながら、ケーブルを回転する方法です。下に人差し指でケーブルを受けていますが、刃に押し当てる力は弱いため、刃を下にする方法に比べて切り込みは浅くなります。何回か刃を当てて少しずつ切り込んでいく感じです。
一周すると結構ズレてしまいました。刃が下の場合、ケーブルを刃に置いて回す感覚ですが、この方法で刃が上だとケーブルが安定しない感じがあり、一周の始点と終点を合わせるのに苦労しました。
力は入りにくいため、いきなり中のIV線被覆を傷つけてしまう心配は少ないです。
3. 電工ナイフを上から当て、上半分切り込みを入れてからケーブルを裏向きにし、残り半分の切り込みを入れる方法
こちらは まき電脳さんの動画 で紹介されている方法です。
下の写真は2番目の方法と似ていますが、この方法では左手のケーブルは固定し、電工ナイフを半周分回して切り込みを入れます。
一度上半分切り込みを入れます。
次に、ケーブルを180°回して反転させます。
反対側も同様に電工ナイフを回して切り込みを入れます。
この方法の良いところは、残り半分の切り込みを入れる際、反対側の切り込みの最初と最後を目視確認できるため、一周の切り込みが繋がりやすいことです。また、電工ナイフを動かすので力のコントロールもしやすく感じました。ただ、慎重に位置を確認したりしていると前の2つの方法に比べると若干時間がかかります。
個人的には失敗しにくいという点で技能(実技)試験でおすすめの方法です。
4. VVFケーブルストリッパーを使う方法
電気試験チャンネルさんの動画 など、検索上位に出てくるのがこの方法です。
まず芯線2本の位置を確認します。
VVFストリッパーを使い、VVFケーブルと同じやり方で被覆を剥きます。注意点は、ケーブルが丸なのでケーブル中の芯線の位置を合わせてやる必要があります。
介在物に傷はつきますが、VVFケーブル同様にケーブル被覆を簡単に剥くことができます。
ただし、この方法には落とし穴が1点あります。下の写真にある通り、VVRケーブル内のIV線2本は、螺旋状にツイストされていました。今回はたまたまIV線の被覆は傷つきませんでしたが、刃を入れた下のIV線がどの位置にあるかは見えないため、最悪縦に挟んでしまいIV線の被覆を傷つける可能性があります。
一番簡単な方法ですが万が一被覆を傷つけ中の銅線が露出してしまうと欠陥になってしまうので支給されるケーブル長さが決まっている技能(実技)試験ではこの方法はちょっと躊躇してしまいます。
5. 中身を押し出す方法
さくらD工作室さんの動画 などに面白いやり方が紹介されていました。
先の細い工具、ラジオペンチ(ロングノーズプライヤー)やプラスドライバーなどでケーブル中身を押し出すという方法です。下の写真のように1cm程度押し出したらペンチで反対側から引っ張るとIV線と介在物が出てくるというものです。
ケーブル長が短く、中の抵抗が少ないVVRケーブルでしか使えない方法です。技能(実技)試験では長くても300mm程度なので中のIV線の被覆を傷つける心配の全く無い裏技です。
ただし、実務でこんなに短いケーブルはほとんど無いと思うので、試験のみに特化した外道とも言うべき方法でしょうか。また、反対側はどうするんだという話もあります。
まあ、そもそもVVRケーブルが使われる場面はほとんど無く、第二種電気工事士技能(実技)試験くらいでしかお目にかかれないレアなケーブルとも言われているため、試験のみと割り切ってこの方法を使うのはありかもしれません。個人的には、この方法で合格してもちょっと引け目を感じてしまいますかね。。。
外装被覆を一周切ったあと
ここまで、5つの方法をご紹介しましたが、外装被覆に一周切り込みを入れたらあとは一緒です。
電工ナイフを使う方法であれば、こんどはケーブル長手方向に切り込みを入れます。ケーブル一周の切り込みが、切れ残り無くスパッと切ることのできる熟練者は、ここは省略して外装を引っ張ってスポッと抜くことができますが、切れ目が残っていると抜けないので縦にも切って剥ぎ取る形になります。
外装被覆を剥ぎ取ります。中を傷つけるのが怖くてあまり深く切れなかった人も心配ありません、ペンチを使えばビリビリ剥ぐことができます。
介在物のビニールと紙をほどきます。
ペンチの根元の刃やニッパーなどで介在物を根元からカットします。
中のIV線の被覆はVVFケーブルストリッパーでカットしましょう。
できあがりです!
まとめ-5つの方法の比較とおすすめの方法は?
第二種電気工事士技能(実技)試験でVVRケーブルの被覆を剥く一番おすすめの方法は、3番目の「電工ナイフを上から当て、上半分切り込みを入れてからケーブルを裏向きにし、残り半分の切り込みを入れる方法」でした!
1番目の電工ナイフを使い刃を下にしてケーブルを回転する方法は、切り込みが深く入れられ作業時間が短いので熟練すればこの方法が一番速いでしょう。しかし、技術が未熟だと中の芯線を傷つける可能性があります。
2番目の1番目の電工ナイフを使い刃を下にしてケーブルを回転する方法は回転が安定せず、始点と終点を繋げるのが難しいので3番目の方法に軍配が上がります。
VVFストリッパーを使う方法と、細い工具で中身を押し出す方法は、技術が要りませんがそれぞれ芯線の被覆を傷つける危険がある、ケーブルによっては押出しできるかわからないというリスクがあり、試験で確実に使えるか不安な面もあるのでおすすめしません。
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